スローガン

スローガンの意義

スローガンについて、最近多くのチームが設定しているけれども、その意義や目的をきちんと理解しているチームは少ないように感じる。


マチュアスポーツチームにおけるスローガンとは「 チーム共通の目標へ向かう姿勢を表す言葉」であり、決してキャッチコピーであってはならないと思う。うまいこと言ったと悦に入るだけのようなスローガンではチームを力強く前進させていくことは難しい。

 

Change

さて、そんな重要なスローガンに置いて、 よく耳にするタイプのワードがある。
「Change」や「変革」といった類のものだ。
ちなみにチームスローガンとしてこれらを用いる場合は、注意が必要である。


チームとは代々の積み重ねで作っていくものだ。 その積み重ねの中でチームカラーが育まれ、当然そのチームカラーにはストロングポイントやウィークポイントが潜んでいる。
チーム運営で大切なことは、ストロングポイントを伸ばしてウィークポイントを克服すること。あるいはストロングポイントを存分に活かし、ウィークポイントの影響が小さくなる戦略をとることである。


だが、「Change」 と言う単語は過去の積み重ねを安易に否定し兼ねない。
これまで勝てなかった原因を過去の諸先輩方のチーム方針・運営に責任転嫁し、全く別の方針を打ち出せばあたかも良い結果が生まれるかのように錯覚しているようでは歴史を繰り返すだけである。
・速いラクロスを目指したチームがポゼッションラクロスを目指す
・ゾーン主体のチームがマンツーマンに切り替える
・2on2ラクロスだったオフェンスが、パスゲームを構築しようとする
当然やろうとしていることが昨年とは異なるから、出来なかったことが出来るようになるものである。が、昨年までストロングポイントとして持っていた部分が鳴りを潜めるのもまた当然である。
するとどうなるか、2,3年後のチームスローガンが、また「 Change」になるのだ。
チームとしては前進することなく、 ある一点を軸にひたすらピボットするだけで、時間をイタズラに浪費してしまう。


「Change」が難しい理由は他にもある。
それは日々良い方向に「Change」 していくことが単純に当たり前だからだ。


4年生や幹部に求められるものと、 ただの3年生に求められるものは全く異なっている。3年生が4年生になり「昨年までの自分達のままじゃダメだ! 変わらなければならない!!」こう感じるのは至極当然である。
だが最上級生が引退し、全員の学年がひとつあがるタイミングで、「変わらなければならない」のは全ラクロッサー共通である。皆に求められるものが変わるからだ。
そんな当たり前をただ単にチームスローガンに掲げたところでチームはまとまらないし、効果的なチームワークは発揮されない。これでは他のチームより成長することは難しい。

 

ベクトル

では、それでも「Change」 の必要性を感じるチームはどうするべきか?
それはベクトルを示すことで簡単に解決される。
「どう変わりたいのか?」「変わった後どうありたいのか?」 これらを考え、導き出された答。前述したように、 その答に向かう姿勢を言語化したものこそが「スローガン」である。


チーム全員が同じ姿勢でゴールへ向かう、 その姿勢について明確な共通認識を持つ。 それこそがスローガンを設定する価値であり、目的である。